小学校4年生になって、野球を始めたばかりのころ、叔父に連れられて後楽園球場(いまの東京ドーム)で、巨人対国鉄(いまのヤクルト)戦を見た。初めてのプロ野球観戦だ。調べてみると、1959年4月26日のこと。
この日のことを鮮明に覚えているのは、巨人に入団した王貞治選手が初ホームランを打った試合だからだ。まだ一本足では打っていない。公式戦で868本のホームランを打った人の記念すべき第1号――それを現場で目撃した。忘れられない思い出だ。
野球をやっていたのは小学校までだが、野球マンガは本当によく読んでいた。
「キャプテン」は、野球の名門中学から公立中学へ転校してきた主人公の谷口タカオが、その名門中学のユニフォームを着て練習に参加するところから始まる。実際は2軍の補欠なのにレギュラー選手だったと思いこまれたため、言いだすこともできずに、みんなの期待に応えようと陰での努力を重ね、ついにはキャプテンに選ばれるまでになる。
それまでの野球マンガのように、スーパースターは登場しない。仲間とともに努力を重ねて、成長していく物語である。谷口が卒業後も、代々のキャプテンを主人公として連載が続いた。
この「キャプテン」のスピンオフとして「プレイボール」が並行して始まり、高校進学後の谷口が描かれていった。だが、これは作者の体調不良で未完となってしまう。
2017年、コージィ城倉によって「プレイボール2」の連載が開始された。こちらは先日、1巻目を読んだばかりだが、確かに懐かしさはある。2巻目も買った。
そして、何よりも「プレイボール」を読み返してみたいと思った。
本棚を見てみたら、一冊もない。両作品とも文庫本で全巻揃えたことが2回はあるはずなのに。鎌倉へ引っ越し10年近くたっているが、引っ越しのたびに、整理してしまったのだろうか。
思わず、全巻、ネットで購入してしまった。一気読みをした。忘れているところもあったが、改めて感動した。
小説もマンガもそうだが、気に入った本に出会うと、その作者の既刊本を読みたくなってしまう。だから当然だが、本がたまっていき、積んどくだけの未読本が増えていく。
ちなみに、順不同に挙げてみると、五木寛之、阿佐田哲也、森村誠一、内田康夫、矢作俊彦、関川夏央、吉村達也、今野敏、喜多嶋隆、池井戸潤、東野圭吾、本宮ひろ志、さいとうたかを、花咲アキラ、秋本治、あだち充、水島新司、ちばてつや、尾瀬あきら、池上遼一、細野不二彦、谷口ジロー、弘兼憲史、畑中純……などなど。もちろん、全作品を読んでいるわけではない。
ちばあきおは41歳の若さで、この世を去った。残された作品は少ないが、両作品は永遠に記憶されていくことだろう。イチローも、田中将大も好きだったらしい。
ちなみに、ベースボールを「野球」と訳したのは、正岡子規だと思っていたのだが、実際は第一高等学校(今の東大)野球部の中馬庚監督である。野原でするから「野球」としたという。
調べると、意外な発見がある。凡人は一生、勉強するしかない。
[BOOK DATA]
「キャプテン」
作者:ちばあきお
初出:月刊少年ジャンプ(集英社1972年2月号~1979年3月号連載)
単行本:集英社1~26(1974年~1980年)
愛蔵版:集英社1~15(1991年~1992年)
文庫本:集英社1~15(1995年~1996年)
TVアニメ:日本テレビ系放映(1980年4月2日・8月20日/1983年1月10日~7月4日全26話)
劇場用アニメ:(1981年夏)
実写映画:(2007年8月公開、監督:室賀厚、主演: 布施紀行)
「プレイボール」
作者:ちばあきお
初出:週刊少年ジャンプ(集英社1973年~1978年連載)
単行本:集英社1~22(1976年~1979年)
文庫本:集英社1~11(1996年)
TVアニメ:(2005年7月4日~9月26日全13話/2006年1月10日~3月27日全13話)